ル・コルビュジエのサヴォア邸

パリから西方30kmのポワシーという街に近代建築の巨人、ル・コルビュジエの代表作のひとつサヴォア邸(1931年竣工)が今でも建っている。幾何学的な角ばったデザインながらも所々で曲線が用いられ、優しい柔らかな印象も受ける建築だ。「落水荘」「ファンズワース邸」と並び、20世紀を代表する建築とされている。

サヴォア邸(ポワシー)
サヴォア邸(ポワシー)

光の使い方、窓の切り取り方、金物、空間の流れ、どれをとっても素晴らしく、美しいクラシック音楽のような建築に思えてくる。コルビュジエの提案した1.ピロティ 2.屋上庭園 3.自由な平面 4.水平連続窓 5.自由な立面は「新しい建築の5つの要点」といわれ、世界中を席巻することになる。日本にもコルビュジエを参考にした建築が今でも数多く建てられ続けている。現代建築に大きな影響を与えたコルビュジエであるが、古代ギリシャの神殿やエーゲ海の白い集落など、古典や素朴な住居から多くを学び、自らの建築に生かした。

古代アゴラ テセイオン
古代アゴラ テセイオン(アテネ)

それにしても、今から90年近く前の建築なのだから近隣の住民たちはさぞかし驚いた事だろう。しかし、そのインパクトゆえにエピゴーネンが世界中を覆いつくしてしまった事は、コルビュジエにとっては悲劇だった。コルビュジエの理念の根本には初源的な人間生活の調和と幸せがあり、安易な模倣をする建築物の多くは、その表面的な部分にばかり気を取られ、コルビュジエの心の内まで理解するものがいなかった。

コルビュジエは「初源的な形は、はっきり読み取れるので美しい形である。」とし、「建築は今日その初心を記憶していない。」と続ける。今日の建築は表面的なデザインだけを追いかけているに過ぎないということだろうか。

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ル・コルビュジェ
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