野沢正光さんと住宅遺産トラストの活動

雑誌住宅建築神楽坂建築塾の合同公開講座に参加をした時の話です。講演者の野沢正光さんは東京芸大を卒業後、大高建築設計事務所に勤められた後に独立。建築を環境から考え続け、OMソーラーの開発にも携わったことで知られています。現在は我が母校である武蔵野美術大学の客員教授を務められています。

野沢さんは、相も変わらずスクラップ&ビルドされていく日本の住宅を救うべく存在する「住宅遺産トラスト」の代表理事としても活躍されています。Webサイトに住宅遺産トラストの挨拶文がありましたので、引用をさせていただきます。

様々な事情により、貴重な住宅建築がひっそりとその姿を消しつつあります。 

どんなに優れた建築であっても、個人の所有である点で住宅の継承はきわめて難しいテーマです。 
優れた住宅を失うことは、貴重な技術や空間を失うにとどまらず、そこで育まれ続けられてきた住まい方、地域の記憶景観を失うことでもあるでしょう。 
私たちは、こうした価値ある住宅建築とその環境を「住宅遺産」と呼びます。 
「住宅遺産」を愛し、その継承に関心を寄せる多くの方々とともに、これを後世に継承するための仕組み作りを目指して、「一般社団法人住宅遺産トラスト」を設立いたしました。

建築を文化として考えたり、建築保全的な活動をすることよりも、経済を優先させることで発展してきたと言える日本ですが、成熟した街並みを持つに至ったわけではありません。無秩序な開発やそれによってできた街に暮らす事が、豊かな生活の向上をもたらしたのでしょうか?

イタリアやフランスを訪れる日本人は後を絶ちません。時間が蓄積された古い街並みを散策する事で心豊かになって帰ってくるのでしょうが、日本を訪れた外国人観光客はなにを持ち帰るのでしょうか?具体的には電化製品などかもしれませんが、心に宿るものを得る事は決して多くはないのかもしれません。建築をストックし継承する事をせず、芸術選奨を受賞した名建築さえあっさりと壊す日本。情けない事に我々はその常識の中に生きているんだと野沢さんは説いたのでした。

神楽坂高橋ビルにて
神楽坂高橋ビルにて
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