シルヴァカンヌのシトー会修道院

南仏にプロヴァンスの3姉妹と呼ばれるロマネスク様式の修道院がある。今回は末娘であるシルヴァカンヌのシトー会修道院に行った。エクス・アン・プロヴァンスから長距離バスで40分程度掛かるのだが、片道僅かに1ユーロ。あちらは公共交通運賃がとても安い。

シルヴァカンヌ修道院
シルヴァカンヌのシトー会修道院

今から約900年前に熱心な修道士たちが自ら工作し、積み上げた石の世界は厳しすぎるほどにストイック。積まれた石は時間の流れで風化し角が取れているが、完成当時はひりつく様な緊張感があったことだろうと想像出来る。薄暗い石の空間で彼らは信仰のために生きたのだが、戒律が厳格すぎたためか平均寿命は僅かに27歳だっという。

修道士の面影
修道士の面影

宗教的な衣服に身を包んだ人は実はガイドさんで、今は修道院としての役目を終え観光客相手に一般公開し、時にはイベントやコンサートなどにも使われている。BGMでグレゴリオ聖歌が流れ厳かな雰囲気づくりに頑張っているが、ところどころ照明を仕込んだりと改造の跡が見られる。日本で空き家など古い建物の有効利用を唱える動きが活発だが、それは最近のことでありヨーロッパでは昔から根付いていることなのだ。

厳しい石の世界
厳しい石の世界

木や紙、畳、左官など植物性の素材で日本建築は造られてきた。欧州の石の建築を見るたびに慣れない日本人観光客は面食らい感動する。一方で日本に来る外国人観光客はあまりにも均質的に近代化してしまった日本を見て拍子抜けをする。京都においても同じことで、美しい日本を実感できる人が多くないのだという。京都駅を降りた瞬間の彼らの落胆ぶりは想像出来るし、もしも駅から五条通りまで古い町家が連なっていたら壮観だったろうにと残念に思う。建築や町並みはその国の文化そのものであるから、安易に古い建物を壊さずに町並みを維持したほうが良いのだろうが、今日もどこかで工事中の音がする。

光と影の空間
光と影の空間
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